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太陽を曳く馬(第五回「新潮」2007年2月号)雑感

随分ご無沙汰している「太陽を曳く馬」の雑感です。第五回を読んだのはもう二ヶ月ほど前…話の内容を忘れちゃったよ(汗)。
その間に、「李歐」や「わが手に拳銃を」を読んで大阪地どりをしたり、大阪地どりから帰って来て再び「黄金を抱いて翔べ」(文庫版)を読んだり何気にタカムラー活動にいそしんでいるわけです。でも、まだ「わが手に拳銃を」をちゃんと再読していないなあ(地どり前は読み流しただけ)、図書館から借りてるのに延滞してる…やばい。

注意:以下、雑感を記載しますが、多少ネタバレになる場合もあります。特に反転等はしませんのでご注意ください。また、福澤彰之シリーズを未読のため解釈におかしな点が生じるかもしれませんが、どうぞご容赦ください。


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第五章のタイトルは「公判(一)」。
ここから秋道事件の公判のようです。

まずは現在の時間から、小岩の事件について、部下の吉岡と行きます。
合田の持っている立派な傘に目が行くくせに、合田の顔色はサッパリ見ていない吉岡。合田も苦労するよ。私も会社勤めをしているので合田のこの感覚は理解できるんですが、現代の20~30歳くらいの男性はこの辺の感覚ってあまり気にしないんですかね? KY(空気読めない)なんて言葉のある昨今ですが、感覚の鈍い若年層が多い気がするのですよ。
それでも、わが身の保身には走る周到さ。ああ、いやだいやだ。

そして時間は再び秋道事件へ。98年9月12日、第一回公判。ここで秋道事件の詳細が明らかに。
今回を読む限りでは、事件当時、事情聴取をした合田の判断は正しかったんじゃないかと思うのですが(私の合田への思い入れを抜きに考えてみても)。合田は聴取内容についていろんな人からいろんな批判を浴びたわけですが、それでも公正な事情聴取にしたのは正しいと思うのです。それは、この第一回公判を傍聴した人すべての感覚が証明していると。

「声が出てくるのは頭です」。
これは秋道が大野恵美を撲殺するに至った経緯についての理由なんですが、ああなるほど、と妙に納得してしまいました。なんというか、秋道の考え方っていわゆる普通の考え方とはまったく違う、どちらかというと「事実のみ」を淡々と把握する、って感じなんですよ。たしかに声が出てくるのは頭(頭のある部分に口がある)だし、そこを殴って声を止めるというのは理に適っているなあ、と。…もしかするともっと深い意味があるのかもしれませんが(苦笑)。

殺人で公判を請求する以上の検察の立場、そして警察の責任について。ちなみに警察の責任については、事件の指揮をしたのは合田なので、合田が負うことになる責任と解釈してもよいかもしれません。そして今更ながらの合田の逡巡…。
合田はいつも自分の関わった事件について後々振り返り、そして逡巡し、自分のあの時の判断は間違っていたのだろうかと自問するんですよね。なんというか、そういった描写を見るたびに「この人は何で刑事なんかやってるんだろう」と思うのです。生きるのに不器用といいますか、それでも警察という組織にいる以上、合田も何とか立ち回って今の地位にいるわけですが…。優秀な人だしそれなりに功績もあって出世もしているのにもかかわらず、この不器用さ。

久米弁護士について。
合田は98年6月末に永却寺で久米と遭遇しており、その時も久米の切迫した声の強さを認識しています。そして多分、合田は久米の持つ強さを羨ましく思ってるんでしょうね。

「メディア次第ですよ」と真顔で答えた社会部の記者とのやりとりは、昨今の事件はすべてメディアによっていかようにも左右される、という問題提起かと思います。ドラマ「相棒」でも、陪審員制度についてメディアの持つ影響を語ってましたが、近頃のメディアはちょっと過剰反応といいますか、「そんなことまで報道しなくたっていいじゃん」って思ったりするんですが、どうでしょうか?? メディアが報道しないことによって上手くいくことって、いっぱいあると思う。

秋道事件の回想とともに現在の小岩の事件が挿入されますが、最後に、「煙が叫ぶレコード」と第一回公判の夜に電話してきた荒井久美子について。
この「煙が叫ぶレコード」という表現は秀逸です。ああ、なるほど!と思いました。そしてそれを秋道に教え込んだ荒井久美子は結局、存在自体、煙が叫ぶレコードには成り得なかったという逆説。この対比は素晴らしいです。最後の合田の放心もすごく理解できる。

あー、続きが気になる!!
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[T9] 「太陽を曳く馬」 連載第五回 (「新潮」2007年2月号)

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