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京極夏彦「前巷説百物語」「西巷説百物語」

連チャンで京極夏彦です。
単に、図書館で3冊同時に予約入れたら、3冊同時に準備されてしまっただけなんですけどね。

巷説シリーズは、山岡百介を主人公とする「巷説百物語」から始まり「続巷説百物語」、翁となった山岡の「後巷説百物語」と続き、これにて終了かと思っていたら、御行の又市の若かりし頃を舞台とした「前巷説百物語」、そして若かりし又市の相棒だった靄舟(もやぶね)の林蔵を主人公とした「西巷説百物語」と展開しておりました。
というわけで、今回のレビューは若かりし又市の時代の話です。

「前巷説」は、「巷説」「続巷説」ではしたたかな印象の又市も、かつてはこんな熱い若者の時代があったんだなあというのが第一印象。損料屋のゑんま屋に雇われて小股潜りの又市と名乗る頃の又市の話です。この「前巷説」は、山岡を主人公とする「巷説」では出てこない登場人物が何人も出てきます。そしてその人たちはこの「前巷説」でしか出てきません。その理由はネタバレになるので書けないのですが、いずれも魅力的な人物たちであることは間違いありません。
個人的には「巷説」より気軽に読めました。ただ、切なさは「巷説」の数倍ですが…。「巷説」よりずっと登場人物にスポットが当たっている気がします。山崎寅之助という元鳥見番の武士が出てくるのですが、最初の登場から「可愛げのある人だなあ」と思っていて、途中からどんどん彼の技とかその技を身に付けたバックグラウンドが描かれて、最後の彼の武士を辞めた理由のくだりでは切なくて切なくて…そしてあの幕切れも、読みながら心の中で叫んでしまうくらいあっけなく、衝撃的でした。
「命をかける」という言葉がひどく似合う、エモーショナルな小説だと思います。

そして「西巷説」。
「前巷説」で出てきた林蔵を主人公とする話で、「前巷説」に比べるとパンチが弱いのは致し方ないのかも。こちらでは、林蔵はなかなか美形な人物として描かれています(笑。「前巷説」ではそんな描写なかったような。)。又市に決め台詞があるように、林蔵にも決め台詞が。この小説は、靄舟に乗せられる人(林蔵の口車に乗ってしまう人)にスポットを当てて描かれていて、冒頭から語られる人物は、大抵、悪人だったり罪を犯していたりという人物ばかりで、又市にスポットが当たっていた前作に比べるとパンチが弱いと感じるのかもしれません。
こちらも、ここで初めて出てくる登場人物が多いのですが、このあとに続く「巷説」シリーズの伏線かもしれないので、必ずしも当小説限りとは言えないのですが…。

この2作を読んで、「巷説」「続巷説」も久し振りに読みたくなって図書館で借りてしまいました。秋の夜長に読書は合いますね~。

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